極私的京都ガイドその2

京都に初めて来たとき、「おおっ!」って思ったのは何か?っていうことをふと思い出してみたりしたんだけれど、道路の行先表示に書いてある「金閣寺 10km」とかの看板にもグッと来たりはしたんだけれど、いちばん「ああ、京都に来たんだ!」って思ったのは、東側に見えた大の字型に禿げ上がってるあの山だ。

大文字山というと、「いや、あれは如意が岳といって…」とうんちくを語りだす人が居るので、要注意なあの山だ。

毎年8月16日にやるあの行事を「大文字焼」って言ったりすると、京都人に丸められて鴨川に流されるから気を付けよう。

大文字山登山のススメ

まあ、そういうワケで、大文字山だ。あの山、私有地らしいのだが、持ち主のご厚意により特に断りもなく上ることができる。五山の送り火が行われる山で、唯一、いきなり行って勝手に登れる山だ。

アプローチ方法は、さまざまらしいが、一番メジャーと思われるのが、銀閣寺の裏手からのアプローチだ。銀閣寺山門をくぐらずに、左手に折れ、そのまま道沿いに回り込むように歩いていくと、唐突に山道になる。
そのあとは、案内に沿って歩くだけだ。だいたい、40分から1時間くらいで、大の字までたどり着くことができる。

大の字からは、京都市内が一望できる。ああ、あそこの緑が吉田山で、もうちょい向こうの緑が糺の森で、こっち側の山の上に妙法の字があって、、、とか、自分の持つ京都地理に関する知識をフル動員してあれこれ眺めていると、たいてい「この山には毎日登ってる」とか言うおじさんとかが、いろいろ案内してくれるはずだ。天気が良ければ、大阪の方まで見えるらしいけれど、そんなに天気が良い日に上ったことがないし、大阪の地理に関する知識がほとんどないので、ありがたみも少ないんだけれど、ソレはさておく。

山に登ると、空気がおいしいとか、夏でもちょっと涼しいなんてことをつい期待してしまうんだけれど、京都の街中からたかだか1時間弱でたどり着く山だ。そんなに別世界感はない。だけど、そこそこ悪い道を長時間歩く必要があるので、ちゃんとした靴を履いていった方がイイ。三歳児くらいの子供を連れた親子連れを見かけるし、よぼよぼのおばあちゃんを連れた人も見かけるんだけれど、そんなに甘くない。

さて、たどり着いた大の字のところは開けているので、ここで満足してしまいがちなんだけれど、頂上はその先に15分くらい歩いたところにある。その途中では、鹿が出てきたこともある。このことからも、京都という街は非常に狭くて、都会の部と田舎の部がものすごく接近して共存しているということがよく分かる。

さて、銀閣寺から登ったら、同じ道を引き返すのはつまらない。大の字の左払いに沿って斜面を降りて、山の中を歩いていくと、法然院の方に降りることができるし、頂上からさらに歩いていくと、蹴上の方に降りることもできる。

そんなこんなで、行ったことのある回数はこの3年間で3回程度なんだけれど、意外とお気に入りの場所だ。行ってみるがいいさ。

途中にある千人塚の謎

登山道の途中、そろそろ中間地点も過ぎたかな?ってくらいの場所に、千人塚がある。ちょうど「大の字」の左払いのちょっと下くらいにある場所だ。
「戦時中に」というような説明がチラリと見えたので、「防空壕があって千人が生き埋めになった」的な逸話でもあるのかと思いきや、「高射砲陣地にするために穴を掘ったら、応仁の乱の頃の人骨がザクザク出てきた」と説明は続いていた。いわゆる、「京都人にとっての、この間の戦争っていうのは、応仁の乱のこと」っていうのをリアルに感じさせる話だった。

まあ、そんなことは気にせず、ここで途中休憩を入れておにぎりを食べてる人も多い。そんな場所。